雲のむこう、約束の場所

自主製作短編アニメ映画「ほしのこえ」が大きな話題を呼んだ、「新海誠」が制作した第一作目の長編アニメ映画。
現世界とは異なり戦争によって日本は津軽海峡で南北に分断されている。そしてその北海道と呼ばれていた地に立つ巨大な塔を間近に望む青森が物語の舞台となる。その青森の中学に通い、青春を謳歌していたメカ好きの男の子2人と女の子1人がある約束をする。「僕らが作った飛行機に乗って3人であの塔に行こう」...しかし、二人の前から女の子は突然去り、男の子二人も違う進路に向けて歩み出したために、約束は守られないまま三年が過ぎる...。
いやぁ、「ほしのこえ」に続きグッと来るねぇ。本当にこの人の映像表現は精緻で、かつ、美しい。今回も光の表現の仕方に、ため息をつくばかり。映像にある空気感は、まさにこの地方のものであり、僕みたいな東北の人間は郷愁を誘われる。
物語は平行宇宙理論を底辺に非常にSFしているんだけど、誰もが無限にこの時間が続くと思っていた中学生という時代の日常を甘酸っぱく描き、成長するにつれて失われていくものを悲しく描くなど、青春ドラマ的なところも。結末に向けての一途な思いは、ちょっと甘すぎるかもしれないけど、それは僕がオヤジだから。若い人が見れば同感できるのではないか。
見た後に、年齢を重ねるたびに失ってきたものが思い出され、ちょっと切なくなる。
ほしのこえ / 佐原ミズ - So What?