夜怪公子 / 菊地秀行

昨晩の就寝前、やっと読み終える。

1982年のデビュー作「魔界都市(新宿)」以来、この作家のライフワークと化しているこの「新宿シリーズ」。今回は、数あるキャラクターの中で「ドクター・メフィスト」が主人公。そんな気はしてなかったんだけど、5年ぶりの登場とのことで、期待して読む。
物語は、月から原吸血鬼、ブリューベック一族が落ちてくるところから始まる。「新宿」の覇権を狙う彼らは、新宿の魔人を次々と訪れ、吸血により自らの配下におさめようとし、その魔人の一人、新宿署の刑事「屍 刑四郎」が、彼らの手に落ちてしまう。美しきマン・サーチャー「秋せつら」が新宿を留守にする中、そのいとこ「秋ふゆはる」、西戸山の夜の住人たち、そして白い医師「ドクター・メフィスト」は「新宿」を守ることができるのか....ってな感じ。
「ドクター・メフィスト」シリーズも数多く出ているけど、「祥伝社」から出版されるのは「初」とのこと。「秋せつら」を主人公とする傑作「夜叉姫伝」に並ぶ傑作というふれこみで売られているこの作品、同じ吸血鬼ものとしては、確かに中々の出来だと思う。しかし、新書版で450ページを超える枚数は、1冊にするにはいささか量がありすぎるようだ。後半はちょっと間延び感がある。
それに、「ドクター・メフィスト」の名を冠にする割には、「秋ふゆはる」の登場シーンがやたら多いし、西戸山の住人たちも数多く登場し、肝心のメフィストの陰が薄くなっているように感じた。ま、それはそれで面白いんだけどね。
今年で23年目ですか。まだまだ「新宿」にエピソードは尽きないようだ。