パンドラの呪い(上・下)(Pandora's Curse) / ジャック・ダブラル(Jack Du Brul)

月曜日から、仕事をし過ぎてしまった...帰りの電車で読了する。

パンドラの呪い〈上〉 (ヴィレッジブックス)

パンドラの呪い〈上〉 (ヴィレッジブックス)

パンドラの呪い〈下〉 (ヴィレッジブックス)

パンドラの呪い〈下〉 (ヴィレッジブックス)

日本では初めて紹介されるという「ジャック・ダブラル」の冒険小説。
第二次世界大戦において、ユダヤ人から数多くの財産を奪ったナチス。そのナチに奪われた財産を正当な持ち主に返還すべく、その在処を追い続ける老ナチ・ハンターの孫娘であり、外科医師でもあるアニカ・クラインは、祖父の命を受けグリーンランド探検隊に参加する。
時を同じくして、地質学者であり冒険家でもあるフィリップ・マーサーは、ある日憧れであった「探査者協会」から入会の条件としてグリーンランド探検に参加することを求められ、参加することを決める。
二人を含む探検隊の目的は1950年代にグリーンランドに設置され、現在は氷河の下に埋もれた「キャンプ・ディケイド」どの調査である。表向きは基地の現在の状態を調査するという者であったが、そこにはドイツの大企業が絡む陰謀が隠されていた....
えーっと、面白いです。まるで映画を見ているように情景が目に浮かぶ文章は、読みやすいし、入り込みやすい。
あとがきで訳者は筆者を「ロバート・ラドラム」や「クライブ・カッスラー」等と並び称しているけど、僕はフィリップ・マーサーという主人公を中心とする話の展開や詳細な史実の記載、武器やメカの描写が精緻なところなどが「トム・クランシー」の「ジャック・ライアン」シリーズによく似ていると思う。しかも、この小説もフィリップ・マーサーを主人公としたシリーズものである。
本作は、そのシリーズの4作目であるため、主人公やその背景に関する情報が欠けている部分が気になるが、それを差し引いても良い出来だと思う。願わくば、シリーズの初期作品やこの後のシリーズ作品も翻訳されることを望みたい。