リングワールド(The Ringworld) / ラリィ・ニーブン(Larry Niven)

昨年の4月に今の職場に異動になってからというもの、以前の職場と異なり自らの仕事で遅くなることは少なく、いつ終わるとも知れぬモノを待って職場で待機することが多くなった。
つまり職場に遅くまでいてもそれほど根を詰めて行うような仕事はないので、このところの読書量は学生時代に匹敵するのではという状態になっている。
さて、そんな中で読み終えた本の感想など。

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

1970年に出版されたSF「リングワールド」は、文字通り太陽のような恒星をリング状に取り囲む巨大な人工構造物「リングワールド」を舞台に2人の人間と高度に進化したテクノロジーを持つものの極端に臆病なパペッティア人、ネコ科に似た風貌を持ち高度な知性を持つものの獰猛な性格のクジン人による冒険隊が、「リングワールド」の秘密を探るために奔走する物語。
実はこの本は今回初めて読んだわけではなく、高校生の頃(1988年くらいかな)に友人*1から薦められ借りて読んだのが最初。
当時も本は良く読んでいたけど、ミステリーやホラー、推理系は好んで海外物を読んでいたのに対し、SFに関しては何故か小松左京平井和正星新一などの日本の作家のものを多く読んでいました。そこに海外のしかもハードSFというのは敷居が高いなぁと当時は思っていたんだけど、友人が強く勧めるものだから*2、そこまで薦めるのならと読み始めて、あまりのおもしろさに当時もハマったもの。
最初に読んだときには、何せリングワールドの構造物としての大きさに驚いたのを覚えています。だって、太陽と同規模の恒星を幅約160万?、長さ約9億6千5百万?のリボン状の構造物が取り巻いているんってんだからスゴい。地球の公転軌道の距離が約9億3千9百万?だし、直径が約1万2千?だから、地球を130個くらい横に並べた幅の帯が地球の公転軌道面で太陽を取り囲んでいるってのは、書いているだけでもう何が何だかわからないよね。で、今回の物語でこの構造物の謎が解き明かされるのかっていうと、全くそんなことはなく、物語の舞台となるのはほとんどこの構造物の「点」の様な部分で、それでも高校生時代の自分が考えられるものを遙かに凌駕していたので、読んでいて非常にワクワクしてたし、逆にその巨大さばかりが残っていて物語の内容が全く思い出せなくなってしまっていたので、改めて読んでみた次第です。
で、改めて読んでみるとこれがまた面白い。すっかり忘れてたんだけど、舞台となった2850年のノウンスペースにおける地球のおかれた状況や4人が一緒に冒険に出る羽目になった経緯、1970年に書かれているため最近の科学的なトレンドは当然ながら網羅されていないけど、それを感じさせるような各種の技術や機器がたくさん出てくるところなど、ホント読んでいて楽しい。
また、物語中に「性」に関する記述が結構大胆に出てくるんだけど、最初に読んだときの記憶があまりないんだよねぇ(^^ゞ。高校生だったから、もっとも興味があってしかるべきなんだけど...*3。こちらの方も大人の視点から改めて読むことができ面白かったです。
奇しくもリングワールド読了後は、ナンシー・クレス著のプロバビリティ・スペースという*4これまた未知の構造物がテーマの最新作を読んでいて、これはこれで興味深くかつ面白く読んでいるんだけど、リングワールドの世界と比べるとちょっと現実的。続編である「リングワールドふたたび(The Ringworld Engineers)」もすでに購入済みだし、早いとこ今読んでる本を読了し、もっと奔放に異星人との関係や(夢の)テクノロジーが描かれていて、楽しいリングワールドの世界に浸りたいなぁなんて思っています。

*1:なんと、SF研究会(同好会)の会長さん。彼は元気にしてるかな...

*2:そーいえば、この前後にアイザック・アシモフファウンデーション・シリーズも薦められたなぁ...

*3:っていうかウブだったのかな(^^ゞ

*4:プロバビリティ・ムーン、プロバビリティ・サンに続く3部作の3作目。