傀儡后 / 牧野 修

先週から通勤の電車の中で読んでいた本が結末を迎える。

傀儡后 (ハヤカワJA)

傀儡后 (ハヤカワJA)

2002年の日本SF大賞を受賞した作品で、この度文庫化されたもの。
隕石が落下し、異形の街と化した大阪を舞台に、多様化するコミュニケーションの中で人の意識の変容をさまざま人の視点から描いていった物語である。
えーっと、前半から中盤にかけてはSFというよりアクション系ミステリの展開で非常にテンポよく進み読んでいても楽しい。ところが中盤以降物語は変貌する。さまざまな視点が交錯し始めるし、時間軸も怪しくなってくる。これは、作者がねらったこと何だろうけど、僕にはチョット辛かった。
また、登場人物の性別感が非常に希薄で、男性だと思っていた人が女性だったり、またその逆もあったりする。そして個々の人物の性格がある影響により豹変したりもするので、「あれ?この人誰だっけ」とページをめくり直すこともしばしばあった。
まぁ全身の皮膚がゼリー状になる「麗腐病」や着用するドラッグ「ネイキッド・スキン」など、斬新なアイディアも多数あり、読みがいはあったんだけど、僕的には結末はイマイチだね。