三菱T-2のいた空

部屋の隅からなつかしい写真が出てくる。

この写真は、日本の最初で、たぶん最後となる独自開発の超音速練習機「三菱T-2」。これは、僕が育った地域にほど近い、航空自衛隊松島基地」の滑走路脇から撮影したモノ。1984年くらいか。
この「松島基地」には航空自衛隊第4航空団第21飛行隊と第22飛行隊があって、戦闘機パイロットになるための最後の訓練を行っている。なお、「ブルーインパルス」も「ノースアメリカンF-86F」から「三菱T-2」に機種変更する際に浜松基地から移ってきた*1
僕は物心ついた頃から、この飛行機を見て育った。僕の住んでいたところは、彼らの飛行経路に当たるらしく、常に爆音を響かせながら2機編隊もしくは単機で飛ぶ姿を見ていた。
小学生の頃、小学校の建物が高台にあったので、遙か彼方にスモークを引きながら訓練するブルーインパルスを望みながら、友達と一生懸命覚えたマニューバー名を言い合っていたのを覚えている。

これは1981年、基地上空での訓練時の撮影で、この翌年、ブルーインパルス浜松基地で4番機の悲劇的な墜落事故を起こす。この事故は、当時小学生だった僕にも非常にショッキングで普段は見ないニュースを食い入るように見ていた。

これは1984年頃の撮影。たまに基地のある宮城県矢本町*2に行って、1日中基地の周辺に張り付き、遠くにブルーの機体が見えると夢中になってシャッターを切った。因みにこの写真群は当時オヤジから譲り受けた「オリンパスOM-2」で撮影している。望遠レンズなど買う金もなく、50㎜1本で頑張っていた。
この三菱T-2の姿も今は松島基地にはない。1971年に初飛行したこの機種は、老朽化が進んでいて、松島基地での訓練課程は「三菱F-2B*3」に引き継がれた。現在でも、岐阜基地で一部の機体を見ることが出来るが、それも今年度末までとなっている。
当時撮影した写真を見ていたら、今一度あの勇姿と音を聞きたいと思い、T-2引退までに岐阜へ行くことを心に決める。

三菱「T-2」 諸元

  • 全長:17.85m
  • 全幅:7.88m
  • 全高:4.45m
  • 最高速度:M1.6
  • エンジン:石川島播磨/RR製 TF40-IHI-801A ×2基
  • 推力:6,400kg
  • 最大離陸重量:11,500kg
  • 空虚重量:6,200kg
  • 乗員:2名

http://www.dii.jda.go.jp/asdf/4wg/index.htm

*1:ブルーインパルスの現在の使用機種は「川崎T-4」

*2:17年4月から東松島市

*3:F-2は米国との共同開発(F-16の発展型)であり、独自開発ではない