鏡像の敵 / 神林長平
家路へ向かう電車の中で読了する。
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精緻なハード描写で知られる神林長平が80年代に発表した初期短中編集。
収録されているのは、
- 渇眠
- 痩せても狼
- ハイブリアンズ
- 兎の夢
- ここにいるよ
- 鏡像の敵
の6編。
実は、僕が神林長平の単行本を買うのはこれが初めて。名前は昔から知っていたし、「雪風」のアニメも見た。でも、単行本を買ってみようと思ったのは、SFマガジンに連載された「膚の下」が面白かったから。
さて内容だけど、どれもホントにSFしていて面白い。しかも、どの物語も今から15年以上前に書かれているのに、物語に出てくるハードや理論が古くさくない。この辺はさすがと言うところ。
そして、どの物語にも感じられるのは「自己とは何か」とか「存在とは何か」というテーマ。これは最近書かれた「膚の下」でも問われるテーマなので、この作者に一貫したモノなんだろう。
個人的には、「渇眠」と「ハイブリアンズ」が好み。「痩せても狼」もイイけど、ちょっとおちゃらけ過ぎかな。久々によく味わったSFでした。