変わる「ロイヤル」

長らく御料車であった「プリンス・ロイヤル」がとうとう減耗更新される。宮内庁は本日財務省に提出した平成18年度予算概算要求書に「御料車」の購入費を計上した。
http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY200508310301.html
この「プリンス・ロイヤル」は、もともとプリンス自動車工業によって設計されたもの。
このプリンス自動車工業は1952年に、当時皇太子だった陛下の立太子礼を記念して「プリンス」という名の車を販売し、「たま自動車」という社名まで変更した。こんな経緯から若き日の陛下はプリンスの車を好んで使用したとの噂もあった。
1966年、通商産業省の自動車業界再編計画により、日産自動車と合併してしまうが、販売店の「日産プリンス」や現在も日産の主力車種である「スカイライン」という名に現在でもプリンスの名残を見ることが出来る。
さて、僕はたまたま仕事がらみで、この「プリンス・ロイヤル」を何度か見る機会があった。初めて見たのは15年くらい前で、近くで見ると、当時でも内装は市販高級車よりも質素に見えた。しかし、外から見る風格はまさに「御料車」。威厳と共に歴史が感じられ、近寄りがたい雰囲気さえあった。最後に見たのは3年ぐらい前で、メンテナンスで工場入りしていたところを見かけたんだけど、さすがにそのときは、くたびれてきたなぁ...なんて思った覚えがある。

今回、日産に代わってトヨタが「センチュリー」をベースにして制作するようだ。平成3年頃、当時、センチュリーの開発を担当していた方と話す機会があったんだけど、センチュリー製作の苦労や高品質の理由などを伺い、将来は「御料車を作りたいねぇ」と言っていたのを思い出す。昔年の思いが叶ったということか。
またいつか「ロイヤル」を見かけたときに、さすがトヨタと思うのか、それともプリンス・ロイヤルはよかったと思うのか。その時が来るのを楽しみにしたい。