原点回帰?

ハリケーンによる深刻な被害でブッシュ大統領の支持率が著しく下がっている米国のNASAから、夢のある、そして現実味のある発表があった。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200509200063.html
ブッシュ大統領の政策により、NASAスペースシャトルの運用を2010年で終了することを表明しているが、その後継となるロケット・システムと2018年に月への有人飛行を行うことが発表され、そのシステムの概要と想像図が公表された。
今回のロケット・システムは、有人船を軌道に送り込むロケットと着陸船などの機器を軌道に送り込むロケットが別々になっており、軌道上でドッキングした後に月へ向かうこととなる。

  左:有人船を打ち上げるロケット / 右:機器を打ち上げるロケット
何でも、有人船を打ち上げるロケットは、一段目にスペースシャトルの固体燃料ブースターを使用し、二段目にはスペースシャトルのメインエンジンを流用するのだそうだ。開発コストの軽減と信頼性の確保のために、既存の技術を使うのはよくわかるけど、有人ロケットのメインエンジンに固体燃料ロケットを使用するのはあまり聞いたことがない。でも、それだけ制御には自信があるのだろう。

  ドッキング後、月に向かう形態
また、司令船や着陸船のエンジンには「液体メタン」を使用するのだそうだ。これは、将来の火星有人飛行に向けてのもので、火星の大気から「液体メタン」を抽出し、燃料を補給しようというもの。なるほどねぇ。

想像図で見る限り、月軌道到着後の司令船と着陸船の形態は、往年のアポロ宇宙船によく似ている。しかし、その容積は3倍以上となっており、乗員は4名となるようだ。結局、アポロ計画というのは実によく考えられたものであったということか...


NASAでは、とりあえず5年後までに有人船の部分のロケット・システムで、ISSへ人員を送る計画であるようだけど、スペースシャトル退役後の建設資機材等の軌道投入がどのように行われるかは不明*1


ブッシュ政権が不安定になったことにより、この計画の行く末は不透明になってきた。しかし、とりあえずその青写真が見えてきたのだから、ここはスナオに楽しみにしてみよう。

*1:僕の英語力ではホームページから見つけられず