M−Vロケットの終焉

setsura2006-08-21

相変わらずまったりとした空気が流れている職場を21時頃後にし、家でシャワーを浴びた後に無性に食べたくなったラーメンを食べに行く。で、ラーメンを食べながら考えた最近の話題など。
今週末には(日本時間では来週月曜日の早朝)スペースシャトルアトランティス」の打ち上げが控えているけど、来月になると日本でもロケットの打ち上げがラッシュとなる。
H−IIAロケット10号機(F10)の打ち上げが9月10日、M−Vロケット7号機の打ち上げが9月23日に予定されているからだ。
JAXA|H-IIAロケット10号機/M-Vロケット7号機の打上げについて
前回、H−IIAロケット8、9号機、M−Vロケット6号機をひと月内という短い間隔で打ち上げたことに自信を持ったのか、今回の打ち上も短い間隔で行われるのはイイんだけど、残念なニュースも入ってくる。M−V(ミュー・ファイブ)ロケットの運用は今回の打ち上げを持って終了するというのだ。
JAXA|今後のM-Vロケット等について
以前もこのブログで紹介したけど、M−Vロケットは固体の推進剤を利用するロケットとしては世界でも最大級のもので、しかも高性能なものである。
燃やす技術 - So What?
では何故運用を中止するのか?一番の原因はそのコストである。もともと旧文部省管轄のISAS宇宙科学研究所*1)の下で運用されてきたM−Vは、商業目的用ではなく技術開発のための人工衛星や惑星探査機を打ち上げてきた。故に同じM−Vという名称のロケットでも1台毎にその目的によって仕様は大きく異なっており、コストダウンには向いていないと言わざるをえない。これによって、M−Vの1回の打ち上げコストは約80億円という割高なものとなっており、はるかに複雑なロケットであるH−IIAと対して変わらないものとなってしまっている。
そこでJAXAは、このM−Vを打ち切り、H−IIAでは割高となってしまう比較的小型な衛星打ち上げ用の新型固体燃料ロケットを開発しようというのだけど、まったくの新規設計ではなくH−IIA用の固体ロケットブースターSRB-Aを利用した二段式のロケットを作ろうというのだ。
これって、どっかで聞いた計画ではないだろうか?そう、NASAの新型宇宙往還機である。こちらはスペースシャトルの固体ロケットブースターを利用するものだけど、なんかねぇ、技術がどんどん失われてるのかなぁ...すべてが安易に見えるんですけど。
原点回帰? - So What?
何にせよ、今回のM−Vの打ち上げ以降、JAXAは新しいステージにはいるわけだ。それがどんな結果になるのか、期待してみていこうと思う。

*1:NASDA宇宙開発事業団)と統合され、現在のJAXAとなった。