ここではない何処かへ...

俳優の丹波哲郎さんが亡くなったのを報道で知る。僕は俳優としての彼のイメージはGメン’75くらいしかなく、どちらかというと「霊界の宣伝使」としてバラエティ番組に出演し、現在爆発的なブームになっているスピリチュアリティのはしりのようなことをしていたイメージが強い。


さて、このスピリチュアリティ、知らん間にとんでもなくブームになっているんだねぇ。
そもそもスピリチュアリティとは、

スピリチュアリティ(Spirituality)(霊性)とは、霊魂などの超自然的存在との見えないつながりを信じるまたは感じることに基づく、思想や実践の総称である。
ウィキペディアより引用)

のことのようなんだけど、今回のブームの立役者はスピリチュアル・カウンセラーの江原啓之さんによるカウンセリング。現在、美輪明宏さんと共に、スピリチュアルな視点から人生を説く「オーラの泉」というテレビ番組が大ヒットしている。彼のカウンセリングが特徴的なのは、これまでの所謂「霊能者」と異なり、信仰や霊能者本人による救済を説くわけではなく、霊的・超自然的な物を利用してカウンセリングを行い、人生の転機を説き、転換を助けるところで、細木数子なんか*1と違いあくまで「やさしく」相談者に接する姿勢も人気の理由らしい。


で、なんで突然こんなコトを書いているかというと、最初に書いたとおり丹波さんの訃報を聞いたのと、たまたま本日発売のSFマガジン11月号のコラムで精神科医香山リカさんがこのスピリチュアル・ブームに対し、精神科治療の上での疑問を呈していたから。
コラムでは、精神疾患という不安な状態でただでさえ被暗示性が強まっている患者さんに対し「あなたの前世は○○です」みたいなインパクトのあることを言われると、さらに精神状態が不安定になってしまうという現実面での問題と、最近社会問題化している家族や友人、自分に対する攻撃(殺傷)事件多発の一因としての現代人の「内向き思考」に、「世間」や「未来」といった自分のまわりにある現実世界に目を向けさせずに、「霊界」や「心の世界」といった超世界に気持ちを向けさせてしまうことが、問題をますます増長するのでは?という面を危惧しています。


僕はスピリチュアル・カウンセリングにケチをつけるつもりはないし、香山さんの意見に納得しないでもない。きっと手法やアプローチが違うだけで、人助けという意味では目指していることは一緒なんだろうと思うんだよね*2
結局、カウンセラーや守護霊っていうのは、自分に対し適切なアドバイスを与えてくれるだけで、自分にとって代わって何かをしてくれるわけではないんだろうから、自分の意見を含めた様々な意見に耳を傾けつつ、ひとつの考えに傾倒しすぎないように注意して、バランス良く自己というモノを形成していく。それが今の人間関係が希薄な世界において、自分という物を見失わない唯一の方法なのかもねぇ。
だんだん何を書いてるのかわからなくなってしまったけど、丹波さんの逝去のニュースにそんなことを考えました。

*1:テレビでしか知りませんが、僕はこの人が大嫌いです。

*2:まぁ、テレビ番組=金儲けという図式からいくとお二人ともその崇高さは翳ってしまうような気もするけど...